今日はお客様から、よくいただくお申し出についてお書きします。
「手伝いますよ」
このお申し出は、施工上どうしても一人ではできず、もう一人必要になる工程においていただくことが多いです。
例えば家具の搬入や取付・取り外し、脚立作業におけるサポート(安全確保)といった、技術的な難易度は高くないけれど、施工上必ず人手が必要となる作業です(余談ですが、こういったサポートをする人のことを、俗に業界用語で「手元(てもと)」と呼びます)。
こういった作業に関して、「わざわざ人手をかけてもらうのは申し訳ないので自分もお手伝いします。」というお申し出といただくことがあります。
お気持ち・お気遣いはとても嬉しいです!!! ただ…
結論、
「お手伝いをお願いすることはできない」
というのが、回答になってしまいます…。
理由は施工トラブルや万が一の事故等起きた場合の責任の所在が不明瞭になってしまうからです。
具体例を挙げると、例えば重たい家具を運ぶ最中に壁に傷をつけた・家具を一部破損させてしまった、重いものを運んでいる際に腰を痛めた、脚立がぐらついて落ちてケガをしてしまったというような場合、これが当店の職人による作業の場合は全責任は当店にあるため、もちろん施工エラー箇所はしっかりと補修させていただきます。
ケガの場合も、労災含め「工事保険」に加入しているため、そういった際の入院ケガ保証等、全リスクに対応可能です。
一方で、これを施主様を始めとした当店の指示系統以外の方によるお手伝いの場合、誰がどういった状況で施工エラーにつながったのか、ケガをしてしまったのか責任の所在が不明となる恐れがあります。
どちらが悪いというような犯人捜しのようなことにもつながりかねず、お互い不信感が生まれてしまうことにもなってしまいます。さらには上記の保険に関しては請負の職人のみの保険適用のため、施主さんのお怪我等が生じてしまうと、その費用負担についてどうするのかといったことにもつながりかねません。そのため軽作業であっても、ご協力(共同作業)をお願いするということはできないのが現状です。
おそらくほとんどの工務店では同様の対応をされており、大手業者になればなるほど、管理管轄・責任所在の線引きはしっかりされていると思います。
お客様の中には「自分が手伝うからその分安くならない?」と仰る方もいらっしゃいます。
この物価・人件費高騰のご時世の中、少しでも安価に済ませたいというお気持ちは重々理解しているのですが、工務店としてはそういったリスク等も含め、お代をいただき、安全管理に努めながらしっかりと施工をしていますので、ご理解いただけると嬉しいです。
以上、今日はお客様からのお気遣いに関して、業者側の背景ついて記載してみました。今後リフォームを考えている方の参考になると幸いです。